今回本来は、前回(No.005)の後編として5桁レファレンスのGMTマスターIIについて、実際に購入する際のポイントと注意点を紹介しようと考えていた。しかし、いまネット上でも話題になっているのでご存じの方も多いと思うが、ここにきて現行のスポーツロレックスの新品実勢価格が下がり続けている。そこで急遽、このことについて簡単に書きたい。
ロレックス マスターズ 2019
筆者が総編集長を務めるPOWER Watch(パワーウオッチ)5月号(No.105・2019年3月発売)でも「激変! ロレックス市場のいまを読む」と題して、かつてないほどの高値で推移するロレックスの新品実勢価格について特集を組み、人気スポーツモデルが正規店でまったくと言っていいほど買えず、そのため並行輸入店ではすべて定価を大幅に超えるプレミアム価格という異常なロレックス市場の実態調査を行ったばかりだった。
それがそのわずか2カ月後の5月下旬から6月頭にかけて最高値を記録したものの一転、値下がりに転じたのだ。特に驚異的な価格にまで高騰してしまっていた、デイトナ(白文字盤)とGMTマスターII(青赤ベゼル)、そしてサブマリーナデイト(文字盤がグリーンの通称グリーンサブ)の3モデルの値下がりが特に顕著だった。
ちなみにピーク時の実勢価格からどれだけ下がったのかというと、直近の8月30日時点と比べると、デイトナが32万円、GMTマスターIIが35万円、グリーンサブはデイトナと同じ32万円。これがわずか2〜3カ月の間に起こったのである。
ではなぜここまで下がったのか、その理由は正直わからない。確かに5月以降円高に転じた為替相場や貿易摩擦の影響も多少は関係しているのだろう、しかしここまで大きいともはやそれだけではない。しかも、デイトジャストなどドレス系の実勢価格にはそれほど影響していない。だとすれば、やはり上がりすぎなのではないか。
そもそも国内定価は、デイトナが127万4400円、GMTマスターIIが95万400円、グリーンサブが92万8800円と今回の最高値は倍どころの話ではない。さすがにこれだけの価格差が出てしまうと、購入する側もなかなかついていけない。しかし、それでも売れていた背景にはインバンド需要が関係していたようなのである。あくまでも筆者の推測にすぎないが、つまりこれらの需要自体が落ち着いたことが大なり小なり関係しているとみるのが自然なのかもしれない。
もちろん今回の値下がりは、何も前述の3モデルに限ったことではない、3モデルに比べれば値下がり幅は少ないもののほかのスポーツモデルにも影響が出ている。
そこで、参考までに8月30日時点の実勢価格と値下がりはじめた時点での最高値の実勢価格とを比較してその幅が大きい順に掲載した。これはWatch LIFE NEWSのコンテンツのひとつで、ロレックスの主要11モデルのその日の安値相場情報を毎週金曜日に更新して紹介する「ROLEX WEEKLY DATA」のデータである。
これから10月には消費税増税も控えているため、ロレックスの現行モデルを買おうかと考えている人にとって、この9月は決断を迫られる悩ましい1カ月間となりそうだ。